【開催報告】2022年9月11日(日)イスラームを知ろう!~服装からみる中東・湾岸地域の女性~【オンラインセミナー】

      2022/09/26

 一般財団法人青少年国際交流推進センターは、「イスラームを知ろう!」の第10回目として、2022年9月11日(日)に、オンラインセミナー「イスラームを知ろう!~服装からみる中東・湾岸地域の女性~」を開催し、当日は20名が参加しました。今回のセミナーは、中東の湾岸地域の女性にスポットライトを当て、フィールドワークを中心に研究を進められてきた後藤真実さんをUAEアラブ首長国連邦からお招きし、三部構成(「1. 湾岸地域の仮面文化」、「2. カタール社会のアバヤの変遷」、「3. 湾岸諸国の男性伝統衣装」)で行いました。

 「1. 湾岸地域の仮面文化」では、「ブルカ」または「バトゥーラ」と呼ばれる湾岸地域女性の伝統的な仮面についてご紹介いただきました。起源は、湾岸地域がポルトガルの占領下にあった16世紀初頭に遡ります。仮面のデザインが口髭のように見えることで、若い女性たちを身の危険から守るため、あるいは、地域によっては社会的階級を示すために発展したそうです。奴隷の女性たちは仮面の着用を許されていなかったので、奴隷解放後、彼女たちは真っ先に仮面の着用をして解放を表現したという歴史もあるそうです。特に詳しく解説いただいたのが、仮面の五つの役割です。なかでも、地域や婚姻の有無によって仮面のデザインが異なり、女性の美を隠すことで移動の自由を実現した「社会的役割」、そして、太陽光からの保護や外見のコンプレックスを補うための「身体的役割」の二つはとても合理的だと感じました。
 「2. カタール社会のアバヤの変遷」では、湾岸地域の女性の普段着である「アバヤ」の変遷についてお話しいただきました。伝統を守りながらもオシャレを楽しみたい、という女性たちの想いを反映し、時代と共に変化していったデザインを見せていただきました。現代では多くのバリエーションがあり、肩や袖に煌びやかな装飾が施されたものも登場しているそうです。
 「3. 湾岸諸国の男性伝統衣装」では、湾岸地域の男性の伝統的な服装についてご紹介いただきました。オーダーメイドで作られ、日本やイタリア原産の生地は品質が良いため人気とのことでした。また、国によって襟元などのデザインが異なるという興味深い事実も知ることができました。雑誌やインターネットなどで湾岸地域の伝統衣装をまとった男性を見かけた際は、ぜひデザインに着目していただけると新たな発見があると思います。

 湾岸地域の女性の服装に関しては、セミナー前には「全身を覆う黒い服」を着用しているイメージを持っている方も多かったですが、それらにも歴史的変遷やバリエーションがあること、さらに、伝統的な仮面の文化があることを知ることができました。今回のセミナーは、普段知る機会の少ない「服装」に着目し、専門的な観点からお話を聞くことができ、非常に貴重な機会となりました。

後藤真実氏(右上)と当日のオンライン参加者

<当日の参加者の声(実施後の参加者アンケートから抜粋)>
・以前、テレビ等で女性がマスクを着けておられるのを見て、少し閉鎖的に感じていました。今日のお話で、歴史や女性自身の思いで、自然に、時には誇りを持って身につけているのを知って良かったです。

・仮面文化についてこれまで深く考えることが無かったため、非常に興味深く拝聴いたしました。仮面はUAE旅行の際に着用されている方を見たり触れたり、鉄製と思っていたため、厚紙もしくはコットン製と聞いて驚きました。アバヤについても歴史が変わり、ビシュトを模したものがあるなど、具体事例で聞くことが出来、とても良かったです。

・「イスラームを知ろう!」セミナーに初めから参加していますが、奥が深いです!!今回の後藤さんのお話は、とても分かりやすく、おもしろかったです。もっと聴きたかったです。すごい分析力で、情報にあふれていました。


<主催> 一般財団法人青少年国際交流推進センター
<協力> 日本青年国際交流機構(IYEO)

<スピーカー>
後藤 真実(オンラインでUAEアラブ首長国連邦から参加)
ニューヨーク大学アブダビ校日本学術振興会海外特別研究員
英国エクセター大学アラブ・イスラーム研究所名誉研究員
専門は湾岸地域研究、主な関心は湾岸地域の服装・装い、物質文化、女性の民族誌。
2012年 第24回「世界青年の船」事業に日本参加青年として参加
2015年 カタル大学大学院湾岸地域研究修士課程修了
2019年 エクセター大学大学院アラブ・イスラーム学博士課程修了


<モデレーター>
田島 如子(オンラインで東京から参加)
日本青年国際交流機構(IYEO)幹事
SSEAYPインターナショナル(SI)事務局長
内閣府主催の青年国際交流事業に、1999年「東南アジア青年の船」事業日本参加青年として参加。

※ 過去のセミナーの開催報告は以下リンクからご覧ください。
◆第1回:イスラーム教を学ぼう!<入門編>(2020年11月1日開催)
◆第2回:イスラームを知ろう!~日本人ムスリムの生活をのぞいてみよう~(2020年12月20日開催)
◆第3回:イスラームを知ろう!「ハラールフードってなに? 〜専門家に聞くムスリムの食事とおもてなし〜」(2021年3月28日開催)
◆第4回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(カプサ)~【オンライン】(2021年9月26日開催)
◆第5回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(マクルーバ)~【オンライン&現地(東京都)】(2021年11月23日開催)
◆第6回:イスラームを知ろう!~日本人ムスリマが見つけた、心豊かな中東イスラーム社会の暮らし方~(2022年1月30日開催)
◆第7回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(シシバラク、バクラワ)~【オンライン】(2022年2月23日開催)
◆第8回:イスラームを知ろう!~断食は“入り口”なだけ。人生をリセットする「ラマダーン」~【オンライン&現地(東京都)】 (2022年4月10日開催)
◆第9回:イスラームを知ろう! ~となりのムスリム:地域と生きるマスジド大塚「モスク見学/フードドライブ体験」~【現地(東京都)】(2022年7月23日開催)

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問合せ先:一般財団法人青少年国際交流推進センター
TEL  03-3249-0767
Email  i.seminar@centerye.org

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